公開日:2025-07-29 最終更新日:2025-07-29
背景
世界的なリチウム電池用セパレーター市場は急速に拡大しており、2030年には183億4,000万米ドルに達すると予測されています。中でも、セラミックコーティングされたセパレーターが業界標準となりつつあります。こうした材料には、よりクリーンで安定したスラリー搬送システムが求められます。
従来のロータリーポンプは高粘度のセラミックスラリーの搬送に対応できず、金属汚染、液漏れ、頻繁なメンテナンスといった課題を引き起こすことがあります。
本導入事例では、GRACO QUANTM 電動ダイヤフラムポンプが、クリーンで低脈動かつ漏れのないスラリー搬送を実現し、リチウム電池製造における主要な課題をどのように解決するかをご紹介します。
リチウム電池用セラミックスラリーとは?
セラミックスラリーとは、リチウム電池のセパレーターにコーティングするための高粘度混合物です。一般的に、酸化アルミニウム(Al₂O₃)や二酸化ケイ素(SiO₂)などの微細な無機粒子に、有機溶剤や分散剤を加えて調整されます。
このセラミックコーティングは、セパレーターの耐熱性、耐穿孔性、安全性を大幅に向上させる効果があります。
ただし、スラリーは粘性が高く、固形分含有量も多いため、搬送には非常にクリーンかつ密閉されたシステムが求められます。また、研磨性が高いため、ポンプや配管の摩耗を引き起こしやすく、装置の耐久性と汚染対策が電池メーカーにとって極めて重要です。
📌 現場でのセラミックスラリー搬送:漏れを防ぎ、金属汚染を最小限に抑える方法
導入事例 – 厚生科技(江蘇・山西)|リチウム電池材料のサプライヤー
現在の状況
厚生科技(江蘇省・山西省)は、リチウム電池用原材料の供給を行うメーカーです。
同社の生産ラインでは、15 L/min・1 bar の条件下で、高粘度・高固形分のセラミックスラリーを安定的に搬送する必要があります。
このスラリーは、気泡・脈動・金属汚染に非常に敏感なため、密閉性が高く、低脈動、耐腐食性、清掃が容易なポンプが求められました。これにより、清浄で安定した生産を実現することが目的でした。
改善目標
- 1. ロータリーポンプのシール摩耗による液漏れの解消
- 2. スラリーが金属可動部に接触することによる汚染の防止
- 3. 高粘度・高固形分スラリーの安定搬送の実現
- 4. 気泡と脈動を抑え、コーティング品質を向上
💡 漏れと金属汚染にサヨナラ — QUANTM電動ダイヤフラムポンプで4つの課題を一挙解決!
従来のロータリーポンプではシールの摩耗が頻繁に発生し、液漏れや金属汚染によってコーティング品質に悪影響を及ぼしていました。
GRACO QUANTM i30(PP)に切り替えることで、金属接触を完全に排除し、信頼性が大幅に向上しました。
このポンプはダイヤフラム構造を採用しており、高粘度スラリーをスムーズかつ低脈動で搬送可能。コンパクトで清潔、メンテナンスも簡単です。
🔧 電動ダイヤフラムポンプはどのように顧客ニーズを満たすのか?
課題 |
QUANTMによる解決策 |
🎯 ロータリーポンプのシール摩耗による液漏れの解消 |
✔ シール不要の電動駆動メカニズムを採用しており、潤滑剤やシールが不要。漏れのない運転を実現し、より清潔で安全な環境を提供します。 |
🎯 セラミックスラリーが金属可動部に触れることで発生する汚染の防止 |
✔ 液体接触部はすべて非金属(PP)製で構成されており、金属可動部を一切使用していません。これにより、汚染リスクを最小限に抑え、スラリーの純度を維持します。 |
🎯 高固形分・高粘度のセラミックスラリーを安定搬送 |
✔ ダイヤフラムポンプ構造は高粘度・高固形分の液体に最適化されており、自吸性能と安定した流量を備えています。過酷なスラリーにも対応可能です。 |
🎯 気泡と脈動を抑えてコーティング品質を向上 |
✔ 吐出バルブの精密な調整により、脈動と流量変動を抑制。滑らかな供給を実現し、コーティングの均一性と歩留まりの向上に貢献します。 |