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Bobby Brown
更新 2025-07-03
精度とは?測定精度と再現性、RdとFSの違いをまとめて解説

目次


1. 精度とは

工業プロセス制御、エネルギー管理、品質管理の分野において、精度とは測定値と真の値との近接度を指します。一般的に許容誤差のパーセンテージで表され、「±1%」のように、実際の測定結果が真の値の上下1%以内に収まることを意味します。
精度を語る上で重要な基本概念として、どんなに高度な機器でも微小な誤差や変動は避けられないということがあります。
もし全ての製品が完全無誤差で設計値と100%一致することを求めた場合、次のような結果が生じます。
     • ほとんどの製品が不良品と判定される
     • 工場の生産効率が大幅に低下する
     • コストが大幅に増加し、無駄が発生する
そのため、製品設計や検査の段階で「許容誤差範囲」を定めるのが一般的です。この範囲内に収まっていれば、製品は合格とみなされ、正常に機能し、品質に影響を与えません。この範囲を「公差」と呼びます。

2. 測定精度と再現性の違い

流量計やその他の測定機器の仕様で「再現性」という用語を目にすることがあります。再現性と先ほど説明した測定精度は全く異なる概念です。
再現性 測定精度
定義 同じ条件下で同じ対象を複数回測定した際の結果の一貫性や近接度。再現性は測定機器やシステムの短期的な安定性を表します。 測定値と真の値(または基準値)との近接度。測定精度は機器の正確性を反映します。
例(流量計) 例えば、同じ流量(例:毎秒10リットル)を流量計で10回測定した場合、再現性が高ければ結果は9.98、9.99、10.01リットルといった非常に近い値になります。再現性が高いほどデータのばらつきが小さくなります。 10リットル/秒の液体流量を測定する場合、理想的には流量計が正確に10.0リットル/秒と表示するべきです。9.8リットル/秒と表示された場合は測定精度が低いことを意味します。測定精度が高いほど、表示値は真の値に近づきます。
簡単に言えば、測定精度が良くても結果が安定するとは限らず、再現性が良くても必ずしも正確な測定ができるわけではありません。両方が揃い、適切な校正が施されてこそ、真に信頼できる測定機器となります。
流量計を選ぶ際、精度は重要ですが、一般的に精度が高いほど価格も高くなります。用途に応じて精度とコストのバランスを取ることをおすすめします。例えば、パイプ内の水道水のおおよその量を知りたいだけなら高精度の流量計は不要ですが、精密な製造工程での薬液モニタリングには高精度の流量計が必要です。

3. 精度の表示方法: フルスケール(%FS) vs. 実測値(%Rd)

精度の表示方法には、フルスケール比(%FS)と実測値比(%RdまたはRD)の2種類が一般的です。
%FS vs %Rd

1 ) フルスケール精度(%FS)とは

フルスケール(%FS)で精度を表す場合、誤差は測定範囲の最大値を基準に計算されます。絶対誤差は一定ですが、流量に対する相対誤差は流量の変化に応じて変動します。
Full Scale Accuracy (%FS)
フルスケール表示のメリットは、計算が簡単で絶対誤差が一定であることです。しかし流量が低下すると、絶対誤差が流量に占める割合(相対誤差)が大きくなり、測定精度が低下します。

2 ) 実測値精度(%Rd)とは

実測値(RdまたはRD)で精度を表す場合、誤差は実際の測定値を基に計算されます。測定範囲内のどこであっても、常に現在の測定値に基づいてパーセンテージが計算されます。
Reading Accuracy (%Rd)
実測値表示のメリットは、誤差が測定値に応じて変動するため、低流量時の測定がより正確で相対誤差も安定します。そのため流量が変動するアプリケーションに適しており、広い範囲で精度を維持できます。ただし、計算が複雑で、各測定ごとにリアルタイムで計算が必要です。また高流量時には誤差が大きくなり、測定精度に影響を与える場合があります。
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