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Bobby Brown
更新 2025-04-30
流量計選定ガイド - 10種類の流量計

目次


一、流量計とは?なぜ流量計が必要なのか?

流量計とは、液体や気体といった流体の流量を測定するための計測器です。ここでいう「流量」とは、一定時間内に配管を通過する流体の体積または質量[注1]を指します。よく使われる単位には LPM(リットル/分)、kg/h(キログラム/時)などがあり、日常生活で見かける水道メーターも、実は水の使用量を測定するための流量計の一種です。
流量計が使用される目的はさまざまです。たとえば産業現場では、配管内を流れる液体や気体の流量を監視することで、原料の投入比率を正確に制御したり、冷却水の循環が正常かどうかを確認したり、生産工程における製品の出力量を統計することができます。

二、流量計の種類別比較と用途別の簡易対応表

さまざまな用途のニーズに対応するため、流量計には多くの種類がありますが、大まかには測定原理によって分類することができます。以下に、代表的な10種類の流量計と、それぞれの使用シーンにおける適合性をまとめました。

➤ 記号の意味:★★★ - 優れている、★★ - 適している、 - 推奨されない (コストは★★★が高く、★が低い)


三、流量計の選び方

1. 流体の種類を確認する

まずは、測定対象の流体が液体、気体、または蒸気のいずれであるかを確認しましょう。その他に考慮すべき重要な要素としては、流体のpH値(酸性またはアルカリ性)、配管が満管であるかどうか、気泡の有無、そして流体の粘度などが挙げられます。
流量計を選定する際は、温度と圧力の両方に対して少なくとも10単位の安全マージンを確保することが推奨されます。例えば、流体温度が50°Cで圧力が20 kg/cm²の場合、少なくとも60°C・30 kg/cm²に対応する流量計を選ぶのが安全です。
高圧用途に適した流量計には、超音波式、差圧式、コリオリ式などがあります。温度範囲が広い用途には、差圧式、電磁式、渦流式がよく用いられます。

2. 流量範囲の確認

流量計を選定する際に特に注意すべき点は、「流量計の測定可能な範囲が、設備配管内の流体の流量変動範囲を上回っていること」です。
流量が比較的一定の用途には、小型の面積式(ロタメーター)、タービン式、渦流式、差圧式などを検討できます。 一方で、非常に小さな流量から非常に大きな流量まで幅広く測定する必要がある場合(ターンダウン比が大きい場合)は、超音波式やコリオリ式の流量計が適しています。

3. 精度に対する要求

流量計において、精度が高いほど誤差が小さくなり、より正確な計測が可能となります。ただし、高精度の流量計は一般的に価格も高額になるため、用途や予算に応じて、精度とコストのバランスを考慮することが重要です。
例えば、単に配管内の水の流量を大まかに把握したい場合は、**低コストの低精度面積式流量計(面積流量計)**が適しています。一般的な産業設備では、プロペラ式流量計(翼車式)、容積式、渦流式などの中精度流量計がよく使用されています。
一方で、より高精度で厳密な監視が求められる用途には、超音波式、コリオリ式、電磁式流量計が推奨されます。
➤ 詳しくはこちら:流量計の精度について
 

4. 設置環境の考慮

流量計の設置環境
流量計を選定する際は、配管の口径(管径)を確認することが重要です。大口径の配管には、一般的に外付けタイプの超音波流量計や電磁式流量計が使用されます。一方、小口径の配管には、フロート式流量計(面積流量計)や小型質量流量計がより適しています。
また、振動の影響についても注意が必要です。振動に敏感なコリオリ式質量流量計は、激しい振動環境では誤差が生じやすくなるため、そのような場合は電磁式流量計や超音波式流量計を選択することが推奨されます。これらのタイプは、機械的な振動の影響を比較的受けにくい特徴があります。
さらに、現場の状況によっては配管の切断が難しい場合もあります。そのような場合、クランプオン型(外付け型)の超音波流量計が最適な選択肢となります。ただし、使用する際は液体の状態にも注意が必要です。配管内に気泡が多い場合や、配管が満水でない場合、超音波流量計は正確に測定できない可能性があります。
屋外や防水仕様が求められる場合は、IP65以上の保護等級を備えた流量計を選び、接続部には防水パッケージや屋外用接続ボックスが採用されていることを確認してください。
その他、流体の温度・圧力、周囲環境温度など、特殊な要件がある場合は、購入前に十分確認することが重要です。
➤ 詳しくはこちら:
プロペラ式流量計の設置方法はこちら
フロート式流量計の設置方法はこちら
超音波流量計センサーの設置方法はこちら

5. コストと認証の評価

流量計を選定する際は、性能、価格、必要な製品認証の有無を総合的に比較検討することが重要です。特に、安全基準や法規制を満たすためには、適切な認証を取得した製品を選ぶ必要があります。
また、現場の人員が限られており、できるだけメンテナンスフリーでの運用を希望する場合は、機械的な摩耗部品が存在しない電磁式流量計や超音波式流量計が、他のタイプと比較してより適しています。これらのタイプは構造がシンプルで、長期的に安定した運用が期待できます。

6. 信号伝送の要件

一部の用途では、流量データの記録や伝送機能が求められる場合があります。特に近年、エネルギー管理法の規定により、建物や工場などの設備において年間エネルギー報告が義務付けられています。そのため、データ収集機能を備えた流量計の導入が不可欠です。
このような場合、流量計を選定する際には、通信インターフェースや通信プロトコルが既存のシステムと互換性があるかどうかを事前に確認する必要があります。各メーカーが提供する流量計のカタログや仕様書を必ず確認し、対応する通信方式を把握しましょう。
➤ 通信方式について詳しく知る:
超音波流量計がエネルギー報告を簡単にする理由
アナログ電流出力とは
RS485とは
Modbusとは
接点信号とは

四、用途に合わせた流量計の選定方法 - 半導体大手ファウンドリーの事例

この半導体工場では、純水製造工程において、RO装置に流量計を設置し、RO濃縮水の流量を監視することで、濃縮比の管理と膜のスケール(汚れ)防止を行う必要がありました。しかし、設置スペースが限られ、設備を停止できないという制約がありました。これらの条件を踏まえ、私たちはお客様に6つの選定ステップに基づき、最適な流量計の選定をサポートしました。
ステップ1:媒体特性の分析
RO装置で測定する媒体は「超純水」であり、導電性がなく、低温・常圧・腐食性があります。
✖︎ 電磁式流量計(導電性液体用)およびガラス管面積流量計(耐腐食性が低い)は初期段階で除外できます。
ステップ2:流量範囲の確認
一般的にROシステムの濃縮水の流量範囲は中低流量ですが、ある程度の変動があり、流量計は微細な変化に安定して反応する必要があります。
✖︎ タービン式、渦流式(小流量の変化に対する感度が低い)、差圧式流量計(大流量配管向け)は推奨されません。
ステップ3:精度の要求
測定精度の要求が非常に高く、濃縮比を正確に制御する必要があります。
✖︎ 精度が低めの面積式、熱式質量流量計、渦流式、タービン式流量計は除外します。
一般的に、超音波流量計やコリオリ式質量流量計は高精度で、通常±0.1~0.3%程度の精度が期待できます。
ステップ4:設置環境の考慮
お客様のご要望により、現場では設備を停止できず、スペースも限られています。
✖︎ 高精度の質量流量計は多くが挿入式やフランジ取付タイプで、サイズが大きく、設置工事が複雑です。
非接触での設置が必要な場合、クランプオン式超音波流量計が唯一の選択肢であり、さらにコンパクトです。
ステップ5:コストと認証の評価
コストを抑えたい場合は、ミドルレンジの高機能タイプのクランプオン式超音波流量計が最適です。価格は約1~2万台湾ドルで、一般的には1~2年ごとに校正すれば十分です。
ステップ6:信号伝送の要件
お客様はPLCで流量データを監視する必要があるため、4-20mA、Modbus、Pulseなどの通信プロトコルに対応した電子式流量計を選ぶ必要があります。機器と流量計の通信規格の互換性を事前に確認してください。
✦ 最終的に「クランプオン式超音波流量計」が最適な選択と判断しました ✦
クランプオン式超音波流量計は、高精度、迅速な設置、耐薬品性、デジタル通信対応などの特徴を備え、非導電性の超純水の測定ニーズを満たします。また、設備を停止することなく設置でき、お客様の要求に適合しています。
➤ 詳しくはこちら:本事例で採用した製品 - LORRICの超音波流量計

五、よくある質問(Q&A)

Q1:流量計にはどのような種類がありますか?どう分類されますか?
A:一般的な流量計の種類には、超音波式、面積式(フロート式)、プロペラ式、タービン式、質量式、電磁式などがあります。主な違いは測定原理と用途範囲です。選定の際は、流体の種類、温度、圧力範囲、予算など、実際の用途に基づいて最適な流量計を選ぶことをおすすめします。
➤ 詳しくはこちら:流量計の原理

Q2:なぜ流量計は正確に測定できない場合がありますか?
A:流量計の測定が不正確になる原因として、設置場所の不適切さ、流体内の気泡や異物、配管内の流速の不安定さ、定期校正の未実施やセンサーの劣化などが考えられます。また、用途に適していない流量計を選定することもよくある原因です。正確な測定を維持するため、規定に従って設置し、定期的な点検・校正を行うことを推奨します。

Q3:異なる流量計で精度に差はありますか?
A:はい、流量計の種類によって測定精度は大きく異なります。一般的に、質量式、電磁式、超音波式流量計は高精度で、半導体製造や製薬など、精度が重要な用途に多く使用されます。一方、フロート式流量計は比較的精度は低いですが、コストが抑えられ、一般的な用途に適しています。選定時は、測定目的に応じて適切な精度クラスを選ぶことが重要です。

Q4:流量計は定期的に校正する必要がありますか?方法は?
A:はい、流量計は一般的に1~2年ごとに定期校正する必要があります。校正は、TAFやISO17025認証を取得している検査機関で実施することが推奨されます。また、一部の流量計メーカーも校正サービスを提供しています。
➤ 詳しくはこちら:LORRIC流量計の校正サービス

Q5:流量計の設置時に注意すべき点は?
• 十分な直管部分を確保し、設置箇所の前後に曲がり配管やバルブを避けること
• 流向を確認し、流量計の流向表示に従って設置すること
• 電源配線の安定性と正しいアース接続を確認すること
• 振動が大きい場所、エアポケットや負圧箇所は避けること

参考元

  1. ^ 【注1】 ・体積流量(Volumetric Flow Rate)とは、単位時間あたりに流体が断面を通過する体積を示し、L/min、m³/hなどの単位が使用されます。この測定方式では流体の密度変化は考慮されず、主に水処理や空調(HVAC)システムで使用されます。 ・質量流量(Mass Flow Rate)は、単位時間あたりの流体の総質量を示し、kg/h、g/sなどの単位で表されます。高精度が求められる化学プロセス、製薬、ガス計測などの産業で広く使用されています。流体の密度が温度や圧力によって大きく変動する場合は、質量流量測定方式の流量計の選定が推奨されます。
  2. ^ How to Choose the Right Ultrasonic Flow Meter - Cross
  3. ^ What is an Ultrasonic Flow Meter? - OMEGA
  4. ^ 10 parameters for choosing the optimal mass flowmeter for an application -P.I. Process Instrumentation
  5. ^ A Guide to Positive Displacement Flow Meters - Flow Metrics
  6. ^ Positive displacement meters: pros, cons and selection - ENGINEERLIVE
  7. ^ Advantages of Vortex Technology - EMERSON
  8. ^ A Guide To Choosing The Right Turbine Flow Meter For Your Industrial Needs - Smart Measurement
  9. ^ Turbine Flow Meter Explained | Operation and Calibration - REALPARS
  10. ^ Differential Pressure Flow meters - OMEGA
  11. ^ Laminar Flowmeters - CONTROL AUTOMATION
  12. ^ Important considerations for choosing an electromagnetic flow meter -ESE MAGAZINE
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