PPに関して混同されやすい熱的な数値が2つあります。この違いを正確に理解しておくことが重要です。
融点はPPの結晶構造が完全に崩壊する温度です。市販のアイソタクチックPPでは通常160〜166°Cの範囲にあります。理論上の最大値は171°Cに近づきますが、実際の市販グレードでこの値に達するものはありません。5 この数値は射出成形や押出加工の議論では重要ですが、部品の設計に使う数値ではありません。
設計で使うべき数値は最高連続使用温度(最大作動温度)です。これは、持続的な荷重下でPPが形状と強度を安定して維持できる最高温度を指します。標準的なPP-Hシートおよびロッドでは約82°C(180°F)が上限です。それを超えると、融点にはるかに届かない温度であっても、PP は機械的応力の下で軟化・クリープし始めます。耐熱安定化グレードではこの上限を100〜115°C程度まで延ばせますが、適切なグレードの指定が必要です。6
また、PPは温度変化に対して熱膨張量が比較的大きい材料です。配管設計や温度変動の大きい部品には、継手・支持部・接続部での寸法変化を設計段階で考慮する必要があります。